2020年10月16日 19:00

ヤナーチェク劇場

バンベルク交響楽団

指揮―ヤクプ・フルーシャ

レオシュ・ヤナーチェク(1854-1928):オペラ「利口な女狐の物語」の大組曲(ヤクプ・フルーシャ編曲)

リヒャルト・シュトラウス(1864-1949):アルプス交響曲 作品64

首席指揮者ヤクプ・フルーシャ率いるバンベルク交響楽団のコンサートでは、世代が近い2人の作曲家の作品の、作品へ自然を投影する手法の大きな違いを紹介します。

レオシュ・ヤナーチェクが並外れた作曲家でありながら、交響楽団のための楽曲をわずかしか作曲しなかったために、ヤナーチェクの死後短期間に多くの指揮者たちが、交響楽団の演奏向けに、彼のオペラのスコアをオペラ組曲として編曲しました。

そんな組曲をまず初めにオペラ『利口な女狐の物語』から生み出したのは、才能ある指揮者、ヴーツラフ・タリフでした。その際はもちろん第1幕部分を利用したにとどまりました。2017年に同じオペラから組曲を作るために、単にオーケストラの演奏部分だけを使うことを決めたのが、指揮者ヤクプ・フルーシャでした。彼は、『利口な女狐』において、歌が入らない部分が3分の1以上に上ることを良く分かっていたからです。そうやって、オペラの幕を時系列で追いながら、オーケストラのために作曲された部分を演奏させる組曲が出来上がったのです。

『アルプス交響曲』は、戦時中の1914-1915に作曲された、リヒャルト・シュトラウスの交響詩の中でも演奏される機会が少ない曲です。作曲家は『家庭交響曲』を作曲した後、オペラの作曲にのみ従事することを考えていましたが、幸いその抱負は破られるに至りました。ガーミッシュにあった田舎の家の窓から、アルプスのツークシュピッツェの山頂や壮大な山脈ヴェッテルシュテインの美しい景色が望め、この自然の風景を楽譜に残そうと決めたのです。

シュトラウスの交響詩はもっぱら目に見える事実を描写する、印象的な音楽によるアルプスのパノラマを生み出す方法をとり、自然との精神的関係性を表すものではありません。この音楽の絵画は特別な作品です;楽譜の中には、カウベル、あるいは雷を表す楽器を使用していることがよみとれます。この交響曲が初めてベルリンで演奏された時には、牧歌と評されました(同様に、ヤナーチェクは自ら作曲した『利口な女狐の物語』を「森の牧歌」と名付けています)。それまでのシュトラウス作品にみられなかった、素朴といえるほど一定の簡素さについて、作曲家自身が次のように述べています「私は一度、乳を出す牝牛のように作曲してみたかったんだ。」